職組情報
2019職組情報No.11【常勤職員と非常勤職員の「休日数」と「時給単価」の格差について
2019.12.26
◆◆◆
1.はじめに
非常勤職員と常勤職員とでは、賃金の時給単価で大きな格差が生じていますが、これは休日数のカウントが違うことが一つの要因となっています。
国は、非常勤職員の賃金の時給単価の計算に52週計算(365日÷7日)を採用しています。これは、1週間の労働時間を38.75時間(7.75時間×5日)、1年間の休日数を105日(労基法の最低ライン:下記の◆参照)、1年間の総労働日数/時間を260日/2015時間(52週×38.75時間)として計算するものであり、山形大学もこの方法を踏襲しています。
しかし、この計算では祝日や年末年始も働いていることになり、労働実態からはかけ離れています。実際に就業規則で認められている休日数とも乖離しており、非常勤職員の時給単価を低く抑えるための方便となっていると考えられます。
多くの地方自治体も同様の計算方法を用いていますが、組合の粘り強い運動によって休日計算方法を実態に合わせて見直し、格差解消が進んでいるところも出てきています。
山形大学の常勤職員と非常勤職員の「休日数」と「時給単価」について法務支援室より回答を得ましたので報告いたします。回答内容は、ⅢとⅣに記載します。
Ⅱ.(参考)具体的な時給の計算方法
*残業代もこれらの時給単価をもとに計算されます。
◆ 単純に1週間40時間労働で計算した場合の休日数・・・105日
※労基法の最低ライン
総労働時間 (365日÷7日)×40時間=2085.7時間
総労働日数 2085.7時間(全労働時間)÷8時間(1日の労働時間)=260日
総休日数 365日-260日=105日
(山形大学の場合)同じ級と号俸で計算した場合
★非常勤・・・休日105日、総労働時間2015時間
月平均所定労働時間 52週×38.75時間÷12か月≒168時間
時給 144,100円(1級1号俸)÷168時間≒858円
★常 勤・・・休日125日(2019年)、総労働時間1860日
月平均所定労働時間 (365日-125日)×7.75時間÷12か月≒155時間
時給 144,100円(1級1号俸)÷155時間≒930円
(非常勤)と(常勤)の時給差 約72円
Ⅲ.休日数について
《大学回答1》
山形大学の職員の休日は、「国立大学法人山形大学職員の勤務時間,休日,休暇等に関する規程」第10条で定められています。
一方、定時勤務職員については「国立大学法人山形大学定時勤務職員の勤務時間,休日,休暇等に関する規程」第10条で、短時間勤務職員については「国立大学法人山形大学短時間勤務職員の勤務時間,休日,休暇等に関する規程」第9条で、同様に規定されています。
規程では、職員の所定休日は、①日曜日、②土曜日、③「国民の祝日に関する法律」に定める休日、④12月29日から翌年の1月3日までの日(①~③の休日を除く。)、⑤その他本学が特に定める日とされており、それを過去3年にあてはめると、以下のとおりとなります。
なお、労使協定による計画的休暇は、休暇の計画的取得に当たるものであり、所定休日には該当しないので、注意が必要です。
【2019(平成31/令和元)年】
1月 12日(内訳:①4日、②4日、③2日、④2日)
2月 9日(内訳:①4日、②4日、③1日)
3月 11日(内訳:①5日、②5日、③1日)
4月 10日(内訳:①4日、②4日、③2日)
5月 12日(内訳:①3日、②3日、③6日)
6月 10日(内訳:①5日、②5日)
7月 9日(内訳:①4日、②4日、③1日)
8月 10日(内訳:①3日、②5日、③2日)
9月 11日(内訳:①5日、②4日、③2日)
10月 10日(内訳:①4日、②4日、③2日)
11月 10日(内訳:①3日、②4日、③3日)
12月 11日(内訳:①5日、②4日、④2日)
合計 125日(内訳:①49日、②50日、③22日、④4日)
【2018(平成30)年】
1月 12日(内訳:①4日、②4日、③2日、④2日)
2月 9日(内訳:①3日、②4日、③2日)
3月 10日(内訳:①4日、②5日、③1日)
4月 10日(内訳:①4日、②4日、③2日)
5月 10日(内訳:①4日、②3日、③3日)
6月 9日(内訳:①4日、②5日)
7月 10日(内訳:①5日、②4日、③1日)
8月 8日(内訳:①4日、②3日、③1日)
9月 12日(内訳:①4日、②5日、③3日)
10月 9日(内訳:①4日、②4日、③1日)
11月 9日(内訳:①4日、②3日、③2日)
12月 12日(内訳:①4日、②5日、③2日、④1日)
合計 120日(内訳:①48日、②49日、③20日、④3日)
【2017(平成29)年】
1月 12日(内訳:①4日、②4日、③3日、④1日)
2月 8日(内訳:①4日、②3日、③1日)
3月 9日(内訳:①4日、②4日、③1日)
4月 10日(内訳:①5日、②4日、③1日)
5月 11日(内訳:①4日、②4日、③3日)
6月 8日(内訳:①4日、②4日)
7月 11日(内訳:①5日、②5日、③1日)
8月 9日(内訳:①4日、②4日、③1日)
9月 10日(内訳:①4日、②4日、③2日)
10月 10日(内訳:①5日、②4日、③1日)
11月 10日(内訳:①4日、②4日、③2日)
12月 11日(内訳:①5日、②4日、③1日、④1日)
合計 119日(内訳:①52日、②48日、③17日、④2日)
回答1は以上
***************************************
⑤その他本学が特に定める日に当たる事例はないようですが、情報交換会で確認したところ、災害などの緊急の場合を想定しているとのことでした。
所定休日は規程上、常勤職員と非常勤職員全く同じです。しかし、時給単価計算のもとになる非常勤職員の休日数は国に倣って105日と固定されているため、Ⅱで試算したように時給単価に格差があります。
なお、計画年休についてですが、2019年4月から労働基準法が改正され、使用者は法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が義務付けられました。
そのため大学は、計画年休で5日を消化させる方法を組合に提案しました。過半数代表は教職員の皆様に意見聴取をしましたが異論の声が届かなかったため、計画年休の労使協定を締結しましたが、その後、不満の声があがり、11月20日の情報交換会で大学側に伝えたところ、大学側もすでに認識していたようで来年度は再検討するとのことでした。
参考まで、2012年度には、組合から以下のように要求しています。
【計画的休暇の取得について】
本来、有給休暇は個人が自由に取得できるものであり、計画年休としての使用は望ましいものとは言えない。お盆前後の大学の閉庁については、大学の事情であり、家庭の事情等で有給消化が必要な者にとって、強制的に年休が使用されることは好ましくない。近年、電力の事情から一斉閉庁にし、新たに特別休暇を与える法人も増えている。上記の理由から、今年度の8月13日から16日までを一斉閉庁とし、特別休暇を全教職員に3日与えることを要求する。なお、附属病院等、一斉閉庁は困難と思われる部局については、夏季休暇同様、一定の期間内に消化できるよう求める。」と求めましたが、事務局からの回答として以下のように答えています。
【事務局回答】
計画年休制度は労働基準法第39条第5項に基づき実施しているもので、事業の繁忙や職場の他の労働者への業務のしわよせ等に気兼ねすることなく、労働者に連続・長期の年休取得を可能にすることによって、休養を与えることを目的としている。加えて、年休の取得率を向上させ、時短と余暇活用を推進するという趣旨で実施している。
本学における年次有給休暇の取得日数は、平均7日(平成20年実績)であり、職員全体でみれば年次有給休暇の取得には十分余裕があるため、今のところ一斉閉庁の特別休暇を新設することは考えていない。
なお、計画的休暇については、労使協定において、年次有給休暇のうち5日を超える日数又は特別休暇として付与された夏季休暇を職員が選択することができるようにしており、年次有給休暇の使用を強制しているものではない。
医学部及び医学部附属病院の医療業務従事者にあっては、夏季休暇を取得できる期間を4か月に拡張し、可能な限り取得してもらうようにしている。
Ⅳ 常勤職員と非常勤職員の時給単価について
《大学回答2》
<非常勤職員>
(質問)
応募情報では、定時勤務職員が日額 6,650円、短時間勤務職員は時給858円となっておりますが、これらは、基本給月額が144,100円(1級1号俸)として計算されているということでしょうか。
【回答】
定型的な業務に従事する事務補佐員の場合は、日給及び時間給は一律に設定しています。お問い合わせいただいた新規採用の事務補佐員の場合は、基本給月額144,100円を基礎として、日給6,650円又は時間給858円に決定しています。(2頁の計算式参照)
<常勤職員>
(質問)
例示として、大卒の新規採用者、その方の3年目、5年目の勤務1時間当たりの給与額を教えていただけるでしょうか。
なお、手当はすべての常勤職員が支給されるものだけ(寒冷地手当など)を加算していただく形でかまいません。
【回答】
職員によって手当額が異なるため、基本給月額のみで算出した勤務1時間あたりの給与額ですが、大学新卒の事務職員の場合は、1年目:1,059円、3年目:1,148円、5年目:1,241円となります。
回答2は以上
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大学は、2012年改正労働契約法施行にともなう短時間勤務職員の新雇用契約の締結に当って、「新規の雇用契約」を根拠に、2013年4月採用分から、時給を一律(高卒初任給)807円にしました(その後、最低賃金の引上げを考慮し、採用時の賃金は引き上げられています)。組合は、当時、不当な引き下げであるとして交渉を行い、山形雇用機会均等室にも行政指導を求めましたが、大学側は違法ではないとして居直ったままです。
下記のように、非常勤職員の給与は「その者を常勤職員として採用した場合に受けることになる基本給月額を基礎として」という前提になっており、非常勤職員も学歴や前歴を勘案した給与を保障すべきと要求してきました。この組合の要求に対して、大学は誰でもができる同じ業務を行うことから同じ単価にしていると回答してきました。しかし、本当に誰でもができるような軽い業務だけになっているでしょうか。常勤職員に代わる責任を伴う業務を任されていないでしょうか。
また、人事院勧告による俸給表の引き上げ(4月遡及分を3月の一時金として支給)の適用外としています。
2020年4月1日施行の「パートタイム・有期雇用労働法」により、常勤職員との均等待遇が義務付けられ、格差を設ける場合には使用者に対して説明責任が求められるようになります。今後、東北非正規教職員組合と一緒に待遇改善を求め交渉していく予定ですので、ご理解ご支援のほど、よろしくお願いいたします。
【給与規程から】
(ア)常勤職員
(勤務1時間当たりの給与額の算出)
第8条 第47条から第49条まで及び第59条に規定する勤務1時間当たりの給与額は,基本給の月額(基本給に基本給の調整額を加えた額をいう。以下同じ。),地域手当,広域異動手当,管理職手当,初任給調整手当,衛生管理手当,産業医手当,役員業務補佐手当,副学長手当,放射線取扱主任者手当,放射線取扱手当,特地勤務手当,診療従事教員等特別
手当,看護職員教育指導手当,義務教育等教員特別手当,フレックスコース担当手当,教職調整額及び寒冷地手当の月額の合計額を1か月当たりの平均所定勤務時間数で除して
得た額とする。」
(イ)定時勤務職員
「日給額は、山形大学職員給与規程に基づき、その者を常勤職員として採用した場合に受けることになる基本給月額を基礎として、次の算式により算出した額の範囲内の額とする。(基本給月額×12(月)/52(週)×38.75(時間)×7.75(時間))」
(ウ)短時間勤務職員
「時間給の額は,国立大学法人山形大学職員給与規程(以下「給与規程」という。)に基づき,その者を常勤の職員として採用した場合に受けることとなる基本給月額を基礎として,次の算式により算出した額の範囲内の額とする。
(基本給月額×12(月))/(52(週)×38.75(時間))
以上
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