職組情報
2021職組情報No.26【最高裁判所の判決を受けて】
2022.4.12
<資料> 判決文
最高裁判所の判決をうけての声明文
山形大学職員組合 執行委員長
安藤 耕己
去る3月18日に最高裁において、山形大学勝訴の仙台高裁判決を破棄し、審理を高裁への差し戻すとの判決が下されました。今回破棄された仙台高裁判決は、昨年3月に下されたものです。その判決は、昇給抑制や賃金引き下げが実施され4年ほど経ち、大学と本組合とが改めて団体交渉をしても一定の内容の合意を成立させることは事実上不可能であったとして、山形県労働委員会が大学に発した誠実交渉に応ずべき旨の救済命令を違法とし、同命令を取り消したものでした。しかしながら今回の最高裁判決は、「使用者が誠実交渉義務に違反する不当労働行為をした場合には、当該団体交渉に係る事項に関して合意の成立する見込みないときであっても、労働委員会は、誠実交渉義務命令を発することができると解するのが相当である」とし、上述の仙台高裁判決を破棄し審理差し戻しを命じました。至極、あたりまえのことがあたりまえに認められたものと思います。
この間、本件を対応頂いた山形県労働委員会にはもちろんのこと、ご支援・ご協力を頂いた諸組織・諸団体にも改めて御礼申し上げます。引き続き本組合は、今後の審理再開に際しても、補助参考人として山形県労働委員会の支援を行って参ります。
今後、仙台高裁においては、本組合が県労働委員会に対して救済命令を求めるに至った一連の大学側の対応が誠実団体交渉義務に違反するものであったか否かの審理・判断がなされるものとなります。その前にまず大学側には、今回の判決に関わる一連の報道等においてもその経緯が示されたことで改めて問題となっている点、すなわち組合との交渉のあり方そのものをよくよく再考いただき、襟を正していただきたいものです。
現在行われている期末手当引き下げ等に関わる一連の交渉においても、学長名もない根拠に乏しい不確かな説明資料を、交渉当日その場で配布することが多く、加えて毎回、手当引き下げの根拠に係る数値が変わるなど、とても誠実に対応しているとは思えない状況が常態化しています。大学側には、今後の団体交渉における対応を誠実かつ真摯なものとしていただくことを強く求めます。
2022年4月5日
2019職組情報No.25【山形大学不当労働行為救済命令取消請求事件の判決について
2020.6.2
◆◆◆ 山形大学不当労働行為救済命令取消請求事件の判決について ◆◆◆
<資料>
2020年5月26日 山形地裁判決書
2020年5月29日 山形大学職員組合の見解と要請
執行委員長:芦谷竜矢
報道にありますように,山形大学が山形県労働委員会の救済命令取り消しを求めた裁判について,5月26日に山形地裁は県労委の命令を取り消す判決を下しました。
判決文を見ていただければ分かりますが,要約すると「不誠実交渉の経緯があったかなかったかは問題ではなく,既に労働条件変更が行われてしまっているので,労使交渉は成立しない。使用者側に成立し得ない労使交渉を求めるという不可能を強いることになるので違法である。」という判決です。これは、労働者は使用者に隷属することを裁判所が容認したということです。
したがって不誠実交渉の有無は問題にしていない判決であり,「使用者側がどれほど不誠実な態度をとっても不利益変更をしてしまえば,その不利益変更に関する労使交渉に関しては救済されない」ということになり,大学だけでの問題ではなく,使用者側にとっては使い勝手が良い,勝手を許す判決とも言えます。
これを許してしまえば,対等な労使交渉を行うことができなくなり,今後に禍根を残す不当判決であると我々は考えています。組合としては5月29日にこれに対する声明を発表し,判決の不当性を訴えました。また,これは大学のみの問題ではなく労働全般にわたる問題でもあります。
組合では,この件についてご意見等を募集しています。ぜひ,組合室までお寄せください。