職組情報
2020職組情報No.17【2020年度 第1回団体交渉(報告その1)】
2021.1.29
◆◆◆ 2020年度 第1回団体交渉(報告その1) ◆◆◆
shokikyoku@yu-union1.kj.yamagata-u.ac.jp
2020年1月25日(月)13:30から2時間、2020年度の第1回団体交渉が行われました。出席者は、大学側から小島理事、伊藤総務部長、池野人事課長、菅井労務課長、佐竹法務支援室上席専門員、他3名、組合側は、山大職組から冨田委員長、今野書記長、ほか5名、県労連から佐藤事務局長、東北非正規教職員組合から久保委員長が出席しました。大学側から提示された資料は以下になります。
①国立大学法人山形大学職員給与規程等の一部改正について(案)
なお、組合側からは、1月19日の学長交渉で使用した資料を基に話をしました。組合側の資料は以下になります。
②令和2年の人事院勧告を踏まえた今後の対応に関する交渉について
前年度役員の7月30日の交渉および1月19日の学長懇談で学長に出席するよう要請し日程調整しているにもかかわらず、冒頭、法務支援室より「学長はスケジュールの都合で出席できず小島理事に一任」との報告がありました。交渉後、次回は学長が必ず出席できる日程で調整していただきたいと念押ししました。
協議事項および主なやり取りは以下のようなものです。
【1】給与規定等の一部改正(案)について~期末手当の支給月数を0.05月分引下げ
初めに、小島理事から「2020年人事院勧告を踏まえ文科省・総務省から適切に対応をするよう文書が来ている。しかし、給与改定が決定したのが12月で手続きが間に合わなかったため今年度は改正せず、2021年度の6月からとした。マイナス改定。予算がひっ迫しているからという理由ではなく、国の要請に基づき、これまでも人勧準拠してきたから引き下げ提案とする。」という説明がありました。
山大職組からは、「今年度引き下げなかったことは評価するが、コロナの影響で業務が多忙化。ほとんどの人の業務が増えている。オンライン授業の準備にこれまでの2倍掛かるという声も聴くがそれ以上の労力をかけている人もいるのではないか。これで給与が下げられては、現状と合わない。」と発言し、本日は提案内容を聞き置き、次回交渉を行うことを伝えました。なお、付属資料の財務については、6項目目で質疑を行いました。
【2】同一労働同一賃金について(これまでの交渉およびキャンパス長懇談を踏まえて)
初めに、県労連から昨年度の交渉で大学が作成していると明言した同一労働同一賃金のための業務調査表「マトリックス」について、実は基本的な業務内容しか確認していなかったことを尋ねたところ伊藤総務部長が認め、それでも良いので開示するよう要求したところ、1月中に提示することを約束しました。また、調査表を作成する際、国の手順書を使用したことも改めて確認しました。組合は、その内容を見て交渉させていただくと伝えました。
その後、昨年の日本郵政の判決に基づき扶養手当など出すべきではないかと要求したところ、小島理事は、「判決は承知している。無視できないが、急いで結論が出るものでもない。」と回答しました。手当を出せない理由を文書で出すことを要求したところ出すことを約束しました。
最後に、学長も懇談の際、「慎重に検討すべき事項。判決を踏まえて対応していく。」と発言していたことを伝えました。
【3】非常勤職員の過重負担について
米沢キャンパス長懇談を受けて要求書も提出していますが、山大職組から非常勤職員の働き方の問題について2点指摘しました。一つ目は、異動に伴って引継ぎの負担が発生していること。二つ目は、非常勤職員に負担が集中しており、上司も業務内容がよくわかっていないという事態があるということです。一人でその部署の業務をこなしていた方が労災で病休になる事案も出てきています。
これに対して小島理事から、引継ぎがうまくいかないということはあるので、その部署の正規職員を一斉に異動させることはできるだけ避けるよう全学の事務協議会で周知しているがそれぞれの事情がある。今後は十分配慮する。要求していた過重負担の事案については「改善していると承知している」という回答だったので、改善の指示内容とその結果を具体的に知らせていただきたいと要求しました。病休に関しては知らなかったので確認するとのことでした。
組合に相談のあった事案では学部に改善を求め上司がフォローすることになりましたが、上司がフォローできる内容は限られており、担当者の負担軽減は不十分です。キャンパスによって対応する学生の数が違うにもかかわらず職員数は同様に1人という業務もあり、また、かつては正規職員が行っていた業務を非常勤職員が引き継いだにもかかわらず待遇に格差があることも指摘しました。
【4】時間外労働及び休日労働について
県労連から、昨年3月3日の三者共同提出の追加要求事項についてまだ文書回答がないので回答を要求したところ、法務支援室からは昨年の交渉時に口頭回答したとの認識が示されましたが、他の要求事項も入っており文書回答すると言っていたはずなので出すよう重ねて要求しました。2020年以降、組合の要求がたなざらしになる事が日常化しています。
この日、大学からは各事業場の協定案が示されましたが、昨年の交渉やキャンパス長懇談で組合から要求した職種や部署による分割記載が検討された形跡はなく、2020年と同じ内容が示されました。大学側は組合から提案があれば検討すると答えていましたが、昨年3月の交渉でも6月の米沢キャンパス長懇談でも、組合から具体的な記載方法をいくつか提案しています。工学部からも組合の要求を本部に伝えていただいておりましたが、本部からの回答はなかったそうです。
県労連からは労基署の指導ポイントを2点指摘しました。「本来その業務を行えない者、資格のない者などが行えるととられるような記載はしないこと」「超勤分の予算は前もって確保すること」です。小島理事は資格などについてはその通りと認めましたが、「予算は管理職のマネジメントで。超過勤務は予算をにらみつつやるのが管理職の責務。労使協定は全体的なことと考えている。」と回答し、協定を守るのは現場の管理職という認識を示しました。山大職組からは、現場に丸投げでは解決しないこと、上司に指示されたら職員はやらざるをえず追いつめられていくこと、協定を結んでいるのは学長であり最終責任は大学にあることを指摘しました。また県労連からは、資格は大学が把握しているはずなので資料を出していただきたいと要求し、文章の労使協定と現場の運用が違うのであればダブルスタンダードだろうと指摘しました。
小島理事は、そもそも契約で決まっていることを超えることはできない。やれるわけがないというのがこちらのスタンスと回答しました。これに対し県労連からは監督署の指導の趣旨をもう一度確認されたほうが良いと苦言を呈しました。なお、改めて組合側からも提案すると伝えました。
【5】非常勤講師の待遇について
初めに東北非正規教職員組合から、米沢キャンパス長懇談を受けての要求について説明を行い、非常勤講師の置かれている生活実態の過酷さを伝えました。以下はその内容です。
~「女性科学研究者の環境改善に関する懇談会」(日本学術会議の関連(外郭)団体)による2018年のアンケート調査(711名)調査主体羽場久美子(青山学院大学教授、日本学術会議連携会員)によると、女性が過半数(54%)語学・人文・芸術・社会科学系が多数。主たる収入源は非常勤講師(52%)、配偶者の収入(20%)。かけもちは普通非常勤講師の年収 200万円未満が68%、300万円未満でとれば89%。一番の不満は(ひとつ選択)、収入が少ない(41%)、身分が不安定(39%)。年収200万円を下回る人も珍しくない。200万円以下という水準を想像してみてほしい。コンビニで弁当を買えない。スマホを持てない。病院にも行けない。何もできない。(人文、社会系を念頭においているが)業績をあげようにも賃金が低いので本が買えない。賃金が低いので他との掛け持ちをせざるを得ない。教育研究とは無縁な仕事を掛け持ちすることも多い。物流倉庫の夜勤、病院の事務当直で働いたりしている。賃金が低いため研究時間がもてない。多くの場合、科研費申請資格を与えられない。つまり研究費を得るチャンスがない。年齢に応じていろんな人生の節目となるイベントがあるが、例えば結婚、子育て、親の介護などこうした事がとても難しくなる。もしくはできない。あるいは破綻する。こうした非常勤講師が学生を教えていることは珍しくない。また、大学の授業の相当数を担っているにもかかわらず、ワーキングプア状態。一部には常勤になれる場合もあるだろうが、出口のない壁に囲まれた状況。非常勤講師の賃金問題は貧困の問題。~
また、授業のためには準備と研究時間も必要であり、その分の保障も必要であると要求しました。
小島理事は、すぐに解決するのは難しいが実態を伺って何か解決の一案を考えさせていただきたい、日本の大学全体の大きな問題の一つでもあると発言しましたが、授業準備や研究時間も待遇に含めるべきであるという要求については、「(現在の単価で)そのようなことも含めてできる能力のある方をお招きしているはず。」として、単価を上げる考えはないという回答でした。非常勤講師の現状を全く理解していないという印象です。
東北非正規教職員組合からは、初めて交渉させていただいたことに感謝し引き続き要求させていただくと発言がありました。
【6】大学の資料をもとに財政問題についての意見交換
大学側の資料①の円グラフについては、濃い色が確定済み、薄い色は執行予定とのことです。資料①3頁の大学会計の黒字見込1億円は光熱費や旅費などの残り、逆に2頁の病院会計はコロナ対応として病床を空けていた分の収入減による赤字見込5億円とのことです。5頁のコロナ対策経費については、引き続き感染対策が必要だと考え、来年度も見込むための資料とのことです。
人件費の問題については各教職員の雇用原資を明らかにするよう、これまでも繰り返し説明を求めてきました。2019年度の交渉では公表されている財務資料と大学側が提示してきた人件費が合わず説明を求めてきましたが回答がいまだにありません。また、前理事は「授業料は授業にだけ、プロジェクトはプロジェクトだけにしか使えない」「ひも付きがほとんどで自由には使えない」などと発言してきましたが、今回、小島理事が、「今回の給与改定はお金がないからではない」「お金に色はついていない」「(間接経費などはほかの予算との関係で)たまつきで使える」という発言をしたことから、過去の交渉に疑問が呈され紛糾しました。詳細については、後日報告いたします。
2019年度の交渉は、こちらをご参照ください。
以上
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