職組情報
2016職組情報No.10【全大教第28回教職員研究集会の参加報告】
2016.10.18
◆◆◆ 全大教第28回教職員研究集会の参加報告 ◆◆◆
副執行委員長 仁科辰夫
9月10日、11日に開催されたB2分科会について、ご報告申し上げます。
本分科会でのテーマは、
1. テニュア助教をはじめとする教員人事制度(首都大学東京)
2. 「文系廃止」の違法性・不当性(北海道大学)
3. 4学期制について(岡山大学、九州工業大学)
4. 年俸制について
5. グローバル人材育成・英語授業について(電通大)
6. 教員アンケートの今後について
の話題提供と議論がありました。
1. については、首都大学東京ではテニュア助教の多くは雇止めとなり、准教授としての採用がないとのことで、各大学も似たような状況です。山形大学工学部の例でいえば、私が知る限りでは雇止めになった例は1件のみで、1件は別の大学にステップアップしていった例があるが、ほとんどが准教授として任用されており、特殊な部類に入るようです。というか、山形大学だけという印象を受けました。他大学は殆どが雇止めのようです。
2. については、法律や憲法の視点からの違法性を立証しようという学会発表のような報告でした。私は彼の意見には基本的に賛成なのですが、文科省は知らんぷりでしょうね。
3. が一番問題になりそうだと感じた部分です。4学期制に関しては、年次進行による2セメスター制の学生と4学期制の学生が入り混じることがあるわけですが、大学によっては全学年で一気に4学期制を導入したところもあるようです。岡山大学の例では、予習・復習をして理解を深めようというまじめな学生ほど、予習・復習に割ける時間がなくなり、忙しくて余裕がなくなり、心を病んで学生相談室に相談にくるという学生数が急に増えたそうです。その傾向は東大でも同様とのことです。これは教員側の問題もありそうですが、制度設計がいい加減では害しかないとの話がほとんどでした。学生への負担が大きく、日本人学生が留学にいく機会が増えるかといえば、そんなことはない、調査・準備に割く時間がなくなり、留学どころではなくなっているというのが実態とのこと。実効性は全くない、負担が教員にも事務職員にも増えるだけで、学生への負担が一番大きいとのことで、4学期制はやってはならないとのことで意見の一致をみております。
4. については、大学によって制度が異なるようで、年俸制になったほうが短期的には得になると意見もありましたが、どうも年金や退職金なども含めた意見ではないようで、理解を深める必要があるとのことで議論は終了。
5 はいわゆる英語での授業ですが、留学生にとっては助かることは確かだろうが、大多数の日本人学生にとっては害しかないとの報告が相次ぎました。この傾向は東大でも同じで、英語を日本語に直すことで学生は手一杯で、内容の理解という本来の学習活動に頭が廻らないという実態になるとのこと。このため、軒並み成績が落ちているという報告がありました。東大では、「この授業は日本語で行います。」と各授業の最初に英語で宣言することにより、英語の授業という枷をクリアし、実態は日本語の授業にしているという、実をとる手段に多くの先生が手を染めているというのが東大の例として紹介されました。
今回の教研集会で一番気になったのはやはり、4学期制と英語の授業で、未来の日本を託す若者を育成するという教育の視点でいえば、この2点は学生に対して害しか及ぼさない、という事実が積みあがっているようです。心を病む学生まで出てくるような制度はあってはならないと思います。現実を見ないで机上の空論ばかりの政策がトップダウンで出てきますが、現実を見て何をなすべきか、声を大にして訴えていかねばならない。学生をないがしろにした国はすぐに滅びます。
以上、私の私見を交えた報告でした。
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