職組情報
2018職組情報No.6【 xEV飯豊蓄電デバイスセンターでのパワハラ処分に対する第2回組合要求書への大学回答と組合声明】
2018.8.1
◆◆◆ xEV飯豊蓄電デバイスセンターでのパワハラ処分に
対する第2回組合要求書への大学回答と組合声明 ◆◆◆
23日に大学から発表された処分内容について、24日に組合から要求書を提出し、27日に大学から回答がありました。その回答に対し、改めて30日に要求書を提出しましたが、回答は下記のようなものでした。
この回答を受け、後段の声明を大学に提出し、マスコミ各社にもお知らせいたしました。
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平成30年
7 月31日
山形大学職員組合執行委員長
仁 科 辰 夫 殿
国立大学法人山形大学長
小 山 清 人
要求書について(回答)
2018年7月30日付けで要求のありました本件について、下記のとおり回答します。
記
1.減給(平均賃金1日分の2分の1)という処分内容が妥当であるならば、これを担保する法理は何か?本年6月21日に貴職が発表した特別対策委員会の報告内容に対して、国立大学法人山形大学職員の懲戒の手続に関する規程第28条、「別表 懲戒処分の標準例」1 服務上の非違行為(11)セクシュアル・ハラスメント等イの前段に相当するとした点に関して、その妥当性を担保する事実と規定上の法理との関係を明確に説明するよう求めます。
【回答】
国立大学法人山形大学職員の懲戒の手続に関する規程第28条の規定に基づき,「別表 懲戒処分の標準例」1服務上の非違行為(11)イの前段に相当することから,その処分は減給としました。なお,役員会での審議内容などについては,同規程第32条第2項の規定により,非公開となっており,ご回答いたしかねますので,ご了承願います。
以上
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<組合声明>
2018年8月1日
xEV飯豊蓄電デバイスセンターでのパワハラに係る懲戒処分に対する声明
山形大学職員組合執行委員長
仁科 辰夫
xEV飯豊蓄電デバイスセンターでのパワハラに係る懲戒処分の量定について、2018年7月30日に2回目の要求書を提出し、2018年7月31日に小山清人学長から回答がなされた。しかしながら、その内容は2018年7月24日に提出した1回目の要求書に対する回答(2018年7月27日)と基本的には何も変わるものでは無く、懲戒処分の量定に関する合理的な説明はなされず、恣意的な懲戒処分内容であるという疑いを払拭できるものではなかった。このため、山形大学職員組合は、国立大学法人山形大学の学長及び役員会に対する、以下の声明を発表する。
1.
要求事項
以下の5項目を要求する。
ア 職員懲戒規程に反し、恣意的に軽微な懲戒処分の量定としたことを認めること。
イ 本件に関しては、当初から最後までパワハラの事実を隠蔽しようと画策したことを認めること。
ウ 被害者に対する謝罪と補償を適切に実施すること。
エ 本件に関して、学長及び役員会が、本学の運営を担う役員としての適格性に著しく欠ける行為を続け、本学の名誉と信用を著しく傷つけていることを認めること。
オ 再びパワハラを起こさないようにするシステムをいつまでに構築するのか、その手順とタイムスケジュールを明示すること。
2.
要求事項の正当性の根拠と分析
以下に、本件に関する職員組合対応の時系列データ(被害者Aさんの案件についてのみ)を示す。
2017.2.1 組合役員がAさんより電話でパワハラ連絡を受ける。
2017.2.8 Aさんより再び電話相談を受ける。
2017.2.23 Aさんより相談と面談日程調整の電話を受ける。
2017.2.24 Aさんより解雇連絡を受ける。
2017.3.4 職員組合工学部支部にてAさんと面談。その際に写真やメール資料の提供を受ける。
2017.3.21 パワハラ案件として米沢キャンパス長と団体交渉し、Aさんより提供を受けたパワハラ証拠資料のコピーすべてを米沢キャンパス長に渡す。
2017.3.28 工学部支部の支部長、書記、支部役員の3名で米沢労基署に相談。
2017.5.25 学長にAさんに対するパワハラ及び雇止めに関する職員組合1回目の質問書を提出。
2017.6.23 1回目の質問書に対して、「蓄電デバイスセンターにおけるパワハラといった個別の事案については、個人情報保護等の観点からお答えしかねる」、及び「雇止めは客観的に合理的な理由があり、また、社会通念上相当である」との趣旨の回答を得る。
2017.7.3 学長に本件に関する職員組合2回目の質問書を提出。
2017.7.6 2回目の質問書に対して、「蓄電デバイスセンターにおけるパワハラといった個別の事案については、個人情報保護等の観点からお答えしかねる」、及び「雇止めは客観的に合理的な理由があり、また、社会通念上相当である」との趣旨の回答を得る。
2017.10.24 職員組合が「本学におけるハラスメント事案の根絶と被害者の救済のための要求書」を提出。
2017.11.7 要求書に対して、「蓄電デバイスセンターにおけるパワハラといった個別の事案については、個人情報保護等の観点からお答えしかねる」との趣旨の回答を得る。
2017.11.9 職員組合役員が県庁記者クラブにて記者会見し、2017.3.21の米沢キャンパス長との団体交渉時に米沢キャンパス長に渡していたパワハラ証拠資料の一部のみを公開。
2017.11.14 本学キャンパス・ハラスメント防止委員会にて、本件に関する特別対策委員会を立ち上げることが了承される。
2017.11.15 学長が記者会見にて特別対策委員会を立ち上げ、そこに調査委員会を設けて調査にあたることを表明。学長は、「相談者はパワハラとはいわず、職場環境の改善をしてほしいということだった。改善されたと報告を受けていたので、組合の写真を見て、私自身、驚いている。」と発言。
2018.2.2 調査委員会におけるAさんの事情聴取が行われる。
2018.6.21 特別対策委員会による調査結果が報告される。職員組合は、この調査結果に対して一定の評価を表明した。
2018.7.23 加害者に対する懲戒処分が発表される。
2018.7.24 職員組合が懲戒処分の量定に関する1回目の要求書を提出
2018.7.27 1回目の要求書に対する回答を得る。懲戒処分の量定に関する合理的な説明はなされず、恣意的な懲戒処分内容であるという疑いを払拭できるものではなかった。
2018.7.30 職員組合が懲戒処分の量定に関する2回目の要求書を提出
2018.7.31 1回目の要求書に対する回答(2018.7.27)と基本的には何も変わるものでない回答書を得る。
2018.8.1 本声明文を山形大学職員組合が公表
この時系列の事実から、以下の点が明らかであろう。
1)
職員組合側からは、パワハラの事実が明白であり、被害者はこのために雇い止めになっている可能性が高いことを、誠実に3回にわたって質問書と要求書で訴えていた。
2)
パワハラに関する証拠資料は、そのコピーをすべて米沢キャンパス長に渡している。
3)
再三にわたる職員組合からの訴えに対して、法人側は誠実に対応せず、放置を続けてきた。
これらの点から、法人側はパワハラの事実を知りながら意図的に隠蔽を続けたことは明白であろう。2017.11.15の学長記者会見における、
「相談者はパワハラとはいわず、職場環境の改善をしてほしいということだった。改善されたと報告を受けていたので、組合の写真を見て、私自身、驚いている。」
との発言は、到底信用できるものでは無い。もし、学長のこの言葉が真実であるならば、米沢キャンパス長、米沢キャンパス担当理事、労務担当理事の誰かが、あるいは全員が学長に報告をあげていなかったことが推測される。しかし、法人側からの回答書には学長の職印が押印されているのだ。
また、隠蔽疑惑については、2018.2.2の事情聴取において、法人側から要求された誓約書の文面から窺い知ることができる。
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誓 約 書
私は、キャンパス・ハラスメント防止委員会において設置された特別対策委員会の聞き取りを受けたこと及び聞き取りにより知り得た情報を他に一切漏らさないことを誓約します。
山形大学長殿
平成 年 月 日
氏名(署名)
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というものである。この文面では、「他に一切漏らさない」ことの誓約を強制するものであり、事情聴取において知り得たことを、聴取後に弁護士や支援者達に相談することができず、その後の対応を一人で全て行わなければならなくなる。パワハラ被害を受け、精神的にも不安定になっている被害者に対して、このような完全な引きこもりを要求するような誓約書を強制してくる点に悪意を感じざるを得ない。同じ誓約書を調査委員会委員にも課しているとのことだったが、だとすれば、調査結果報告書は、「ハラスメントがあったと認定する。理由は記述できない。」というものか、「ハラスメントはなかったと認定する。理由は記述できない。」の二文だけということもあり得たのである。これを悪用すれば、被害者を意図的に黙らせ、完全な隠蔽が可能となる。これに対抗するため、被害者への弁護士の立合を求め、「関係者の名誉やプライバシー侵害をしないことを誓約する」という文言の誓約書を用意して対応せざるを得なかった。
謝罪などに関しては、被害者への謝罪は全くなく、処分の発表後に被害者に対して電話で担当事務員から「処分が決定したこと」、「処分は1日分の給与1/2」の2点の通知を受けたのみであるとの報告を、被害者本人から受けている。どうやら、法人側及び加害者は、誠意のある謝罪や補償を行う意思がないようである。
懲戒処分の量定の妥当性については、マスコミ各社をはじめとする世間の批判が集中していることから明らかであろう。厚労省によれば、パワハラは「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」と定義され、「上司から部下に対するものに限られず、職務上の地位や人間関係といった「職場内での優位性」を背景にする行為が該当する」、「業務上必要な指示や注意・指導が行われている場合には該当せず、「業務の適正な範囲」を超える行為が該当する」と明確化されている。
(参照; https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000126546.html)
これに対して、2018.6.21発表の特別対策委員会の発表では、「当該教員の行為は、責任者たる地位を背景として、その業務の適正な範囲を超えて、職員に精神的苦痛を与え又は職場環境を悪化させるものとして、パワー・ハラスメントに当たるものと認定した。」と厚労省の定義に従って、明確にパワー・ハラスメントであることを認定している。しかしながら、2018.7.23発表の懲戒処分の発表では、「大学教員として著しく品格と適格性を欠いたハラスメント行為及びそれらの行為により本学の名誉と信用を著しく傷つけたため」とし、パワー・ハラスメントという特別対策委員会の報告を反故にし、単なるハラスメント行為にすり替えている。また、個人の特定ができないように所属・職名・年齢・性別のみを記載し、飯豊パワハラ事件加害者であることを隠して一番軽い処分を下してしまえば、この対象者が飯豊パワハラ事件加害者であることが後からわかっても、二重懲罰にあたるので処分を覆せないとして逃げるという姑息で卑劣な処分内容の発表の仕方であると断じざるを得ない。
ではなぜ、「パワー・ハラスメント」から「ハラスメント」へと用語を変えたのか?これは2018.7.27の回答書と2018.7.31の回答書にもあるように、処分の量定の標準を定めた国立大学法人山形大学職員の懲戒の手続に関する規程にある。この規定の該当部分を以下に示す。すなわち、パワー・ハラスメントという用語を使うとすれば、アの規定の「職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて」という用語がパワー・ハラスメントの定義に該当するため、最低でも停職処分とせざるを得ない。これに対して、単なるハラスメントであれば、イの規定の前段を適用することができ、最低限の処分内容とすることができる。法人側の理屈は、概ねこういったところであろう。すなわち、アの規定を適用しなかった点に、本件を隠蔽し、被害者を雇止めにすることで全て無かったことに仕上げようという、法人側の卑劣で、姑息で、いかがわしい態度が如実に表れた処分であると断定せざるを得ないのである。
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国立大学法人山形大学職員の懲戒の手続に関する規程 抜粋
第28条 別表
1 服務上の非違行為
(11) セクシュアル・ハラスメント等
ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をした職員は、懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
イ 相手の意に反し、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返した職員は、停職、出勤停止又は減給とする。この場合において、わいせつな言辞等の性的な言動を執拗に繰り返したことにより相手を強度の心的ストレスの重積による精神疾患等に羅患したときは、当該職員は懲戒解雇、諭旨解雇又は停職とする。
ウ 相手の意に反し、わいせつな言辞等の性的な言動を行った職員は、減給又は譴責とする。
エ 性的な画像・文書の掲示、提示行為を行った職員は、譴責とする。
オ 国立大学法人山形大学におけるキャンパス・ハラスメントの防止等に関する規程第2条第2項第2号から第4号に規定するアカデミック・ハラスメント、パワー・ハラスメント及びその他のハラスメントについては、アからエまでの基準を準用し、ハラスメント行為の態様、頻度、悪質性の程度、ハラスメントを受けた者の精神的、身体的苦痛等を勘案して、処分を決定する。
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3.
最後に
学問とは、何が正しいかを学び、問うことである。これを探求する行為を研究という。正しいものを追求することは、他者の考えを聞く耳を持ち、自身の思考に誤りがあれば率直にそれを認め、より崇高な次元に至る。そのため、学問をするものは、本質的に公明正大でなければならない。大学とは、この学問を教授・研究する最高学府として国民の付託を受けている。それでは、何のために大学には学生がいて、教育・研究する行為を継続するのか?それは、公明正大な判断のできる若者に、世界の未来を託すためである。このため、憲法では学問の自由を保障しているのである。
この崇高な目的を達成するために、安全・安心で誇りを持って働ける職場環境の整備は必須である。本職員組合の目的もここにある。このため、不誠実な対応を受け続けても、職員組合は誠実交渉を貫かねばならない。
今回の一件で、山形大学の学長をはじめとする役員会、及び加害者は、今回の自らの行為が大学に身を置くものとして相応しくない、恥ずべきものであることを認識しなければならない。それができないのならば、大学に身を置くことは犯罪的行為であると断じざるを得ない。
以上
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