職組情報
2018職組情報No.30【職員給与規程等の一部改正に関する法人提案に対する2度の要求書提出と法人回答について】
2019.3.28
◆◆◆ 職員給与規程等の一部改正に関する法人提案に対する
2度の要求書提出と法人回答について ◆◆◆
1月15日の職組情報No.17にて、1月10日に法人側から説明のあった職員給与規程等の一部改正に関する提案内容と組合の要求書についてご報告いたしましたが、その後、法人から回答があり、組合からは3月7日に2度目の要求書を提出しています。
法人側は1月10日の説明の後、1月16日には役員会、1月24日には経営協議会を開催し、一方的に改定を決定しました。組合からの団体交渉要求については、1月23日だけを提案し、組合側は業務で時間が確保できませんでした。実質、1度の説明のみで改定に至ったことは、1月15日公布の山形県労働委員会による命令書をも全く無視した不誠実な態度と言わざるを得ません。人勧準拠を改定の根拠にする限り、国の政策スケジュールに振り回され、自主的な労使交渉などあり得ないことをはからずも露呈しました。
なお、3月28日現在、法人からの回答は届いておりません。
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要求書(1)
2018年1月15日
国立大学法人山形大学長
小山 清人 殿
山形大学職員組合執行委員長
仁科 辰夫
給与規程等の改定に対する要求
貴職におかれましては、平素より、本学運営にご尽力賜り、感謝申し上げます。
1月10日の交渉において提示された「国立大学法人山形大学職員給与規程等の一部改正について(案)」(以下「改正案」)について、当組合本部執行部としては多くの部分で賃金上昇となる内容を評価する一方で、以下の問題を提起せざるを得ません。まず本改正案について1月16日の役員会での協議、1月24日の経営協議会での協議という、労使間の十分な合意形成が困難なほどに短期間のスケジュールです。人事院勧告どおりに実施する法的根拠がない以上、これのみに固執せずに十分に検討できる時間を確保するべきです。
また、本学が公表している平成29年度給与水準( https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/files/7815/3024/8686/2018kyuuyo.pdf )によれば事務・技術職員の対国家公務員指数は年齢・地域・学歴勘案で95.1(年齢・学歴勘案のみの場合は86.0)、教育職員(大学教員)と国家公務員との給与水準の比較指標は91.7であり、大きな格差が残されています。ちなみに、山形市は101.6(県内全市町村平均で 99.3)となっています。大学法人側は従前より人事院勧告への準拠を給与水準の方針としていますが、勧告率どおりの増減をそのまま適用すればこうした現状の格差を改善できません。民間との格差是正という勧告の本来の目的に照らせば、早急に上記の指数を100に近づけることが必要です。
3点目に、非常勤職員が本改正案に含まれていないことです。雇用形態を問わず同一労働同一賃金の原則を遵守すべきところ、今回適用しないとする十分な理由も、今後の適用の見通しも示されていないことは大変遺憾なことであると言わざるを得ません。
したがって、今回の改正案について以下の点を要求します。
1.仮に今回の改定を4月1日に施行する場合でも、当組合との交渉妥結に至るまで実施を保留し、4月1日を過ぎた場合は同日に遡って適用とすること。
2.事務・技術職員および医療職員の対国家公務員指数(年齢・地域・学歴勘案)のうち現状で100を下回るものについては、100に近づけること。教育職員と国家公務員との給与水準の比較指標についても同様に近づけること。
3.今回の常勤職員に対する賃金改定と同レベルの賃金改定を、非常勤職員に対しても4月1日に実施すること。
以上の要求について、1月21日までの文書による回答を求めます。内容によっては再度の交渉を求めることを申し添えます。
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大学回答
平成31年1月21日
山形大学職員組合
執行委員長 仁科 辰夫 殿
国立大学法人山形大学長
小 山 清 人
給与規程等の改定に対する要求について(回答)
2019年1月15日付でいただいたご意見について、以下のとおり回答します。
今回予定している給与規程等の改正につきましては、1月10日の交渉の際にご説明したとおり、平成30年人事院勧告に準拠して本学職員の給与改定を行うものです。人事院勧告及び国立大学協会作成の教育職俸給表等の情報を貴組合に提供しつつ、本学給与規程等改正案の作成を進めていたものであり、平成30年11月30日の給与法改正を踏まえ、人事院による関係規則改正の説明会(12月7日)を経て、12月下旬に本学給与規程等の改正案を取りまとめたところです。
貴組合との日程調整の結果、1月10日の交渉となりましたが、給与の引き上げを内容とする改正の早期実施を図るため3月1日を施行予定とし、人事院勧告が平成30年4月1日から実施されることを勘案し、同日に遡及した場合に相当する給与特例一時金を3月に支給することも含めて、今年度予算で対応できるよう、1月24日開催の経営協議会で審議いただくこととしたところです。切迫した日程となり、貴組合からは十分に検討する時間がないとのご意見をいただいておりますが、なにとぞご理解願いたいと考えているところです。
本学職員の給与については、民間給与も比較検討した人事院勧告に準じた改定を行うことにより、国家公務員給与に準じた給与体系を維持することが相当であると考えているところですが、十数年にわたる運営費交付金削減等の影響により、人件費削減を実施せざるを得ない本学の財政状況等から鑑みれば、人事院勧告を上回る給与改定を見込むことも極めて困難であると言わざるを得ません。一方、本学職員の給与水準は、別添資料のとおり、他の国立大学法人と比較しても不当に不均衡な状態にあるとは言えず、今回の改正により少しずつ改善されるものと考えております。
なお、非常勤職員の給与については、各年度の予算を勘案して年度ごとに契約することとしており、採用時の合意に基づき日給又は時間給を決定しているため、当該年度内における均衡も勘案し、引き上げる場合も引き下げる場合も、新年度からの措置としているところです。ただし、勤務状況に応じて支給される諸手当については施行日から適用することとしているほか、支給率をもとに算定する期末手当・勤勉手当については、改定に伴う差額相当の給与特例一時金の対象としているところです。このため今回の改正においては、定時勤務職員の勤勉手当について給与特例一時金の支給を予定しているところです。
以上のような状況であり、貴組合からのご意見を踏まえ、1月16日役員会での協議を延期し、再度の交渉を検討しているところですが、引き上げ分の整理を今年度で措置するためには、1月24日開催の経営協議会までに役員会での協議が必要となりますので、日程が調整できず貴組合との合意も難しいような場合は、ご提示した案により改定せざるを得ないこともお含み置きいただき、なにとぞ、ご理解・ご了承をお願いいたします。なお、給与改定の在り方については、今後とも貴組合との意見交換を継続していく必要があると考えているところです。
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要求書(2)
2019年3月7日
国立大学法人山形大学長
小山 清人 殿
山形大学職員組合執行委員長
仁科 辰夫
給与規程等の改定に対する要求について(回答)に関する再要求
貴職におかれましては、平素より、本学運営にご尽力賜り、感謝申し上げます。
1月10日の交渉において提示された「国立大学法人山形大学職員給与規程等の一部改正について(案)」(以下「改正案」)について、1月15日に「給与規程等の改定に対する要求」書にて、以下の要求をさせていただきました。
1.仮に今回の改定を4月1日に施行する場合でも、当組合との交渉妥結に至るまで実施を保留し、4月1日を過ぎた場合は同日に遡って適用とすること。
2.事務・技術職員および医療職員の対国家公務員指数(年齢・地域・学歴勘案)のうち現状で100を下回るものについては、100に近づけること。教育職員と国家公務員との給与水準の比較指標についても同様に近づけること。
3.今回の常勤職員に対する賃金改定と同レベルの賃金改定を、非常勤職員に対しても4月1日に実施すること。
これらの要求に対し、貴職は「国家公務員給与に準じた給与体系を維持することが相当である」「本学の財政状況等から鑑みれば、人事院勧告を上回る給与改定を見込むことも極めて困難」「(非常勤職員の給与については)当該年度内における均衡も勘案し」年度途中からの引き上げは行わない一方、「定時勤務職員の勤勉手当について給与特例一時金の支給を予定」と回答し、1月24日の経営協議会において改定を決定しました。
しかし、労働委員会の命令書で、「(改正前の通則法第63条第3項の規定は)大学が主張するごとく、国家公務員の給与を基準とすることを求めていると解することは困難(27頁)」「少なくとも年商規模400億円の事業会社であれば、組合からの具体的な要求がなくとも、使用者側から進んで相応の財務情報や将来予測資料を提示し、組合の理解を求めるのが通常と思われ、こうした誠実な対応こそが使用者に求められる交渉態度であろう。(30頁)」と述べられている通り、1月21日のような回答ではとうてい誠実交渉とは言えません。
つきましては、改めて、以下を要求します。なお現在上記の命令に対する取消訴訟が提起されていますが、行政事件訴訟法第25条第1項に定めるとおり、この訴訟によって上記命令の効力は妨げられませんので、念の為申し添えます。
【1】
人事院勧告以上の給与改定が困難であるという根拠を、財務データを示してご説明ください。
【2】
「非常勤職員の給与については、各年度の予算を勘案して年度ごとに契約することとしており」との回答でしたが、予算編成には常勤職員の給与も含まれており、一方を引き上げ、もう一方を引き上げない根拠にはなりえません。常勤職員と非常勤職員を差別する法的根拠または財政上の理由があるのであれば、客観的なデータをもとにご説明ください。
【3】
非常勤職員の給与について、国は、「一般職の職員の給与に関する法律第22条第2項の非常勤職員に対する給与について(平成20年8月26日給実甲第1064号)(人事院事務総長発)最終改正:平成29年7月12日給実甲第1227号」 http://www.jinji.go.jp/kisoku/tsuuchi/09_kyuyo/0904000_kyuujitsukou1064.htm で、以下のことを求めています。
一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)第22条第2項の非常勤職員に対する給与の支給について、下記のとおり指針を定めたので、これを踏まえて給与の適正な支給に努めてください。
なお、これに伴い、給実甲第83号(非常勤職員に対する6月及び12月における給与の取扱いについて)は廃止します。
記
1 基本となる給与を、当該非常勤職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級の初号俸の俸給月額を基礎として、職務内容及び職務経験等並びに在勤する地域の要素を考慮して決定すること。
2 通勤手当に相当する給与を支給すること。
3 任期が相当長期にわたる非常勤職員に対しては、期末手当及び勤勉手当に相当する給与を、勤務期間、勤務実績等を考慮の上支給するよう努めること。
4 各庁の長は、非常勤職員の給与に関し、前3項の規定の趣旨に沿った規程を整備すること。
また、2020年4月施行の「パートタイム・有期雇用労働法」では、事業主には以下のことが求められてきます。
1.同じ企業で働く正社員と短時間労働者・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与、手当などあらゆる待遇について、不合理な差を設けることが禁止されます。
2.事業主は、短時間労働者・有期雇用労働者から、正社員との待遇の違いやその理由などについて説明を求められた場合は、説明をしなければなりません。
農学部や工学部には、実態は常勤と変わらない形で、長年にわたって継続勤務されている方が多数います。また、その仕事の責任においても、常勤の担当職員以上のものを負って日々奮闘いただいている方々も多くいます。
しかし、時給換算で考えたとき、常勤の方が、年間2000時間程度、時給3000円〜5000円水準をもらっている一方で、非常勤の方々、特に短時間勤務の方々は、学歴や前歴が勘案されない時給800円台の低賃金であり、期末勤勉手当も退職手当も支給されません。
つきましては、現場の実態および上記の要請や法改正を考慮し、非常勤職員就業規則の今後の改正について、どのようにお考えかご説明ください。
【4】
有期雇用職員の無期転換について、就業規則には、雇用財源により雇止めになる可能性が残されています。また、クーリングによるリセットは無期転換権の潜脱行為であり不安定雇用の解消を求める改正労契法の趣旨を逸脱するものとして、これまでも抗議してきました。
組合は、部局の予算事情により人員を削減する場合でも、他の部局で募集が行われていれば、異動により雇止めを回避する努力を求めていますが、その努力を行わない理由を法的根拠を示してご説明ください。
【5】
2019年の天皇即位の日及び即位礼正殿の儀の行われる日が休日となることについて、非常勤職員の給与が減収とならないよう配慮してください。
厚生労働省は『本年4月27日から5月6日までの10連休に関してよくある御質問について』のなかで、「天皇の即位に際し、国民こぞって祝意を表するという即位日等休日法の趣旨や、国民の祝日 の趣旨等にかんがみ、労使間の話し合いによって、国民の祝日・休日に労働者を休ませ、その場合に賃金の減収を生じないようにすることが望ましいことはいうまでもありません」と回答していることから も適切な配慮をお願いします。
以上
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